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なぜ戦争なのか、どうやって平和を生み出すか―北欧の観点

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【レイキャビク(アイスランド)IDN=ロワナ・ヴィール】

イスラエル・パレスチナ紛争に並んで、ウクライナ戦争を背景としてフィンランドとスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟決定に世界のメディアの注目が集まっているが、デンマーク・フィンランド・アイスランド・ノルウェー・スウェーデン・ファロー諸島・グリーンランド・オーランド諸島を構成国・地域とする「北欧評議会」の閣僚会議とそのビジョンが北欧を世界で最も持続可能で統合された地域にしようとしていることはあまり注目されていない。

北欧評議会閣僚会議の今年の議長国はアイスランドが務めている。同国は昨年、翌年の議長国就任に備えて「平和への力としての北欧地域」と題するプログラムを創出した。北欧評議会閣僚会議は2019年には「新たな北欧の平和―北欧の平和・紛争解決の取り組み」を生み出した。後者は、「イマジン・フォーラム:平和のための北欧の連帯」で発言したアナイン・ヘーグマンとイザベル・ブラムセンが執筆したものだ。フォーラムは今年の10月10・11両日、レイキャビクのハルパ会議センターで開催された。

ヘーグマンの発表は「なぜ戦争なのか、どうやって平和を生み出すか」と題されたもので、平和研究におけるコミュニケーションを活発化する必要について論じ、ブラムセンは、トルコや中国・シリア・アルメニアのような国々やロシアですら、仲介者としてふるまうようになってきており、かつては見られなかったことだと述べた。

「経済平和研究所」によって14年連続で「世界で最も平和な国」に選ばれたアイスランドでこの会議が開かれたことはおそらく適切だっただろう。アイスランドのカトリン・ヤコブスドッティル首相は「各地で戦争が行われているときに平和について語るのは容易ではない」とフォーラムの開会あいさつで述べた。

SDGsが根本

左派緑運動党のヤコブスドッティル首相は、気候問題と資源確保との間で摩擦が起こっているし、アフガニスタンやイランで女性の権利が大幅に奪われていると指摘した。そして、「平和がなければ気候関連活動など起こせない」と述べた。

基調講演を行った国連SDGグループのアミナ・J・モハメド国連事務次長は「SDGsにより真剣に取り組まねばならない。SDGsなくしては平和は常にリスクに晒されている」と語った。「2030年に向けた目標のわずか15%を達成しただけだ。」

ノルウェーのアン・ベーテ・トヴィネレイム国際開発相(兼北欧協力相)は、「気候変動と移住問題が平和問題に複雑性を増した」とし、SDGsが和平プロセスの根本だと述べた。「これが重要な点だ」と彼女は付け加えた。

アイスランドでトヴィネレイムと同じ職務にあたっているギュドムンドゥール・インギ・グドブランドソン(北欧協力相に加え、社会問題・労働市場相も務める)は「もし気候変動と平和についてより多くの情報を手にしたならば、解決策が見出せるだろう。ある国では環境難民が増えている。環境保護が平和促進のカギを握る。」

モハマド国連事務次長は「チャドでは難民問題の厳しさが増している」と指摘し、他方、ノルウェー国際問題研究所のトビアス・エツォルドは、気候変動のために難民が増加しているが、他方で気候難民は通常、国内移動か陸上で国境越えしていると指摘した。「気候変動の影響を受けている国と紛争の影響を受けている国との間には重なりがある。」

スウェーデンのシンクタンクストックホルム国際平和研究所(SIPRI)のジャニー・リルジャは、信頼が鍵を握っており、平和が全体主義的であったり、冷淡であったりすることもあると指摘した。彼女は、「紛争後の問題解決においては、援助対象を絞り込んだ国の方が、そうでない国に比べて平和を維持する傾向にある。」と指摘し、開発援助の役割は精査される必要があり、SIPRIは援助の構成に注目していると述べた。

フィンランドのタンペレ平和研究所のマルコ・レーティは、グローバル・サウスに重点を置いてきた平和研究において、ヨーロッパは盲点であったと指摘した。「ロシアの対ウクライナ戦争は戦間期の状況の問題を欧州に投げかけた。平和は輸出できるものではない。」ジャニー・リルジャはこの発言を捉えて、「私たちがグローバル・サウスとそこでの暴力に集中していなければ、指標を見ることができたはずです」と、ロシアのウクライナ侵攻を念頭に述べた。

人権活動家もまたイマジン・フォーラムに積極的に参加した。MBE 国際市民社会行動ネットワーク(ICAN)の代表で「安全保障におけるリーダーシップを求める女性連合」の指導者でもあるナラギ・アンダーリニは、過激主義の時代に生きることについて言及した。水が多国籍資本によって保有され、アイデンティティの兵器化が進んでいる。民族にしても宗教にしても、他者を「制する」アイデンティティが重視される時代だ。「我々は平和に投資しているとはいえない。米国では、平和よりも戦争に多く投資されている」と彼女は述べた。

「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」のブルーノ・スタグノ・ウガルテによれば、集団安全保障措置は人権に十分な目を向けておらず、我々は自らの責任を解除してしまっているが、早期警戒こそがもっとも効果的な人権擁護のツールであると述べた。人権侵害が誤った方向に向かい、協議と並んで、正義をもたらすための活動は不十分であるが、小規模国は時として大国が無視するような問題に敢然と挑んでいる。「たとえば、ガンビアのような小国がミャンマーを国際刑事裁判所に訴えたりしている」。

女性の不在

協議テーブルにおける女性の不在の問題は何度も取り上げられた。モハマド国連事務次長は、ウクライナ戦争に関して「男性と会話しているテーブルのどこに女性の姿があるのか? 壁はどこにあるのか?」と疑問を呈した。アフガニスタン女性のことを示唆しつつ彼女は「アフガニスタンの女性の声がもっと聴かれるべきだ」と語った。

長きにわたってアフガニスタンで活動しているマボウバ・セラジは同国の女性の状況について語った。女子はもはや学校に行くことが許されていないが、「タリバン幹部の娘たちはドーハで学校に通っている。タリバンの教育は制裁対象にすべきだ。アフガニスタンではまるで『ジェンダーのアパルトヘイト』がしかれている」と「アフガン女性ネットワーク」の議長を務めるセラジは述べた。

会議の終幕にあたって、国際問題研究所所長でイマジン・フォーラムの主催者の一人であるのピア・ハンソンは、今回の会議は成功であったかどうかと問われた。

「ええ。そう思います。私たちがやろうとしていたことは、学者、学生、利害関係者、政府関係者、外交官など多様な人々を集めることでした。多様な会議を目指し、実際それに成功したと思います。また、北欧の平和研究所のネットワーク化の種をまきたいとも思っていました。もし『北欧モデル』というようなものがあるとすれば、それをさらに発展させる可能性を探りたかったからです。いま私たちが考えるべき問題は何なのか、それが将来にどうつながるのかを考えたかったのです。問題は複雑ですから」。

まだ表に出てきていない解決策もあるのかと問われたハンソンはこう答えた。「行く先には難題が待ち構え、世界はますます複雑化し、あらゆる紛争状況において私たちがなすことに希望を持つことは難しいかもしれません。しかし、さまざまな観点から平和を検討してみるならば、世界の紛争地で何が起きているのかということだけではなく、北欧社会の状況も見てみること、そして平和な社会づくりのために何ができるのかを考えてみることが重要なのです。しかし、解決策はいまここにあるのでしょうか? 私は、解決策はあると思っています。私たちは、より深掘りしていける道を見つけたのです。問題に関わるすべての人々がそうできるようにする必要があるのです。」(11.05.2023) INPS Japan/ IDN-InDepthNews

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