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Image: A team of scientific divers assess the marine biodiversity on the top of a seamount in Porto Santo, Madeira, Portugal. © Nuno Vasco Rodrigues/UN World Oceans Day 2023

国連が歴史的な海洋条約を採択

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【国連IDN=タリフ・ディーン】

国連が長年に及ぶ協議の末、世界の公海のうち3分の2以上を占める海洋で生物多様性の保全と維持をめざす世界海洋条約に合意した。

6月19日の採択を受けて、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「海洋は私たちの地球の生命線であり、今日皆様は、新たな命と希望を注ぎ込むことで、海洋に闘いの可能性を与えたのです。」と語った。

多国間主義の強さを示したものとして今回の条約を取り上げたグテーレス事務総長は、「私たちの地球に対する国境を越える脅威に対抗すべく行動することで、グローバルな脅威にはグローバルな行動を取ること、そして各国が公共の利益のために一致団結できることを、明確に示すことになります。」と語った。

国連のパリサ・コホナ元条約局長はIDNの取材に対して「2015年2月の寒く雪深い早朝3時に最終報告をまとめた『国家管轄権を超える生物多様性に関する国連臨時作業部会』の元共同議長として、国連海洋条約が正式採択されたことは喜びに堪えない」と語った。

「脅威にさらされているこの地球にあって生命を維持する上で海洋はきわめて中心的な役割を果たしている。」とコホナ氏は語った。生命は海洋から始まるのである。

「今こそ、生命を維持するために海洋を保護することが必要だ。国内プロセスを早急に済ませ、署名開放された条約を早期に署名・批准するよう求める。」

「2030年までに『持続可能な開発目標』の達成を目指すうえで、この条約は国連にとっての大きな成果となろう。海洋条約は、しばしば『海の憲法』に例えられる国連海洋法条約の下で発展してきた枠組みに新たに重要な柱を付け加えるものとなる。」と、コホナ氏は指摘した。

国連のファルハン・ハク副報道官は6月19日、「2023年SDGサミット」開催の翌日にあたる9月20日から2年間、条約が国連本部において署名開放されると記者団に語った。この条約は60カ国の批准で発効する。

グリーンピース「海洋を守れキャンペーン」のクリス・ソーン氏は、「条約はこの地球のすべての生命にとっての勝利を意味する。」と語った。今や、この条約に合意した各国政府は、公海上の広範な海洋保護区を設置しなければならない。

「科学的に明らかなように、海洋に回復と繁栄のチャンスを与えるためには、2030年までに少なくとも海洋の3割が保護されなければならない。」

「2030年が近づいており、我々の仕事はきわめて大きい。公海のわずか1%しか現状では保護されていない。世界中の多くの人々が変化を求めているからこそ、この歴史的な合意がなされたのだ。しかし、依然として先の道のりは長い。」

「我々はいわゆる『30×30』の達成に全力を尽くす。この条約が2025年には批准され人間の破壊的な活動が及ばない海洋の聖域が海の30%を覆う状態が2030年までには現実のものとなるよう、昼夜を問わず努力していく」。

他方、国連海洋法条約の遺産を基礎とするこの画期的な合意は、海洋の3分の2以上における海洋生物多様性の保全と持続可能な利用のための法的枠組みを大幅に強化するものである。

国連は、この条約は、海洋とその資源の持続可能な開発を促進し、海洋が直面する多面的な問題に対処するために、国家間およびその他の利害関係者間の分野横断的協力に不可欠な枠組みを提供すると述べた。

合意の効果的かつ時宜を得た履行によって、2030年の「持続可能な開発アジェンダ」や「昆明・モントリオールグローバル生物多様性枠組」に盛り込まれた海洋関係の目標達成に大きな貢献がなされることになろう。

国連によれば、この協定は4つの重要な問題に取り組んでいる。

まず、海洋遺伝資源に関する活動から生じる利益の公正かつ衡平な配分と、国家管轄権を超えた地域の海洋遺伝資源に関するデジタル配列情報の枠組みを設定し、そのような活動が全人類に利益をもたらすことを保証する。

また、公海や国際海底域における重要な生息地や種を保全し、持続的に管理するために、海洋保護区を含む区域ベースの管理手段を確立することを可能にする。このような措置は、昆明・モントリオール生物多様性世界枠組みで合意された、2030年までに世界の陸域・内陸水域および海洋・沿岸域の少なくとも30%を効果的に保全・管理するという世界目標「30×30」を達成するために不可欠である。

この枠組みは、国の管轄権を超えた地域での活動が環境に与える影響を評価し、意思決定において考慮することを保証するものである。

また、これによってはじめて、各国の管轄権を超える領域において、気候変動や海洋の酸性化、それに関連した影響がどのような累積的な効果を持つのかを評価する国際的な法的枠組みが与えられることになる。

合意の目標達成にあたって、条約の締約国、とくに途上国を支援する能力構築及び海洋技術移転の協力が促進され、各国の管轄権を超えた領域で海洋生物多様性を責任もって利用し利益を得るうえで、各国の平等化が図られることになろう。

さらに、今回の合意によって、国連海洋法条約やその他の関連条約、それに関連する国際法の枠組み、資金提供や紛争解決などをめぐる世界・地域・地域以下・部門レベルでの機構との関係の整理など、領域横断的な問題に対処することができるようになる。

また、締約国会議や科学技術関連機構、締約国会議の付属機関、情報センター、事務局など、組織の充実も図られる。

グテーレス事務総長は、「海洋の直面する脅威への対処において、また、『2030アジェンダ』や『昆明・モントリオールグローバル生物多様性枠組』を含めた海洋関連の目標達成に向けて、今回の合意はきわめて重要だ。」と指摘したうえで、すべての国連加盟国に対し、この条約の早期発効を目指して遅滞なく行動し、できるだけ早く署名・批准するよう呼びかけた。

また、この実現に向けて諸国への支援を惜しまない旨を表明した。(06.20.2023) INPS Japan/ IDN-InDepthNews

 

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