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Train credit Laos-China Railway Company Limited.

近代のシルクロードはラオスに発展をもたらすか

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【ビエンチャンIDN=パッタマ・ビライラート】

中国が建設した高速鉄道が2021年12月に開通したことで、ラオスはアジア全域の貿易と観光の機会に開かれた現代のシルクロード・プロジェクトに加わった。しかし、内陸国のラオスがその果実を十分に享受しているか国内では疑問視する声も少なくない。

「ラオス・中国鉄道が開通してから、ラオスへの観光客は増加しています。特にタイ人とベトナム人はラオスへの主要な旅行者であり、中国人は旅行やビジネスのためにラオスを訪れています。」と観光局職員のソムポン・タマヴォン氏はIDNの取材に対して語った。

しかし、ラオスのNGO職員サンフェット・マニヴォン氏はやや懐疑的だ。「中国人観光客がラオスに来ると、中国人が経営するホテルに泊まり、レストランで食事をする。その結果、収入はラオスの人々には行き渡らないのです」と彼は苦言を呈した。

「また、中国国境の街ボーテンのように、中国人がカジノやホテルを所有している地域では、人民元が主要な取引通貨となっている。この問題を解決するために、ラオスと中国は今年1月、以前のように他の通貨を経由して両替するのではなく、ラオス・キップと中国元の直接交換を促進することで合意した。

高速鉄道は外国からの乗客を連れてくるだけではなく、ラオス国民の旅行時間も短縮した。これまでタイ国境部の一部を除き鉄道が存在しなかったラオス人の間では、列車旅行に対する憧れが強い。

「以前はヴァンヴィエンまでバスで4時間かかりましたが、今はビエンチャンから電車で55分で着きます。」と、国境を越えてタイのウドンタニで学ぶ看護学生3年生のヴィライポン・ポムチャン氏はIDNの取材に対して語った。彼女の唯一の不満は、列車の出発45分前にしか切符の販売が開始されないため、駅で並ばなければならないことだった。

この鉄道は、中国の習近平国家主席が2013年に打ち出した「一帯一路構想(BRI)」の一環で、東アジアから東南アジア、中央アジア、中東、欧州を陸上と海上の2ルートでつなぐものだ。全体で147カ国が参加している。

2017年5月、ラオスと中国は7つの協力分野(インフラ、農業、能力開発、工業団地、文化・観光、金融・銀行、マーケティング)に焦点を当てた「一帯一路マスタープラン」に署名した。

「ラオス・中国鉄道」は両国間の一帯一路の協力の中では最も優先順位が高い。この鉄道は全長1035キロメートル、時速160キロでラオスの首都ビエンチャンと中国南西部雲南州の州都昆明をつないでいる。かたや同線は中国の全国鉄道網に接続し、もう一方の端では(メコン川の橋を渡る鉄道路線が確立された後)汎アジア鉄道網の一環としてタイやマレーシア、シンガポールに接続する。

ラオス国内の線路は全長422.4キロメートルで、北方の国境の街ボーテンとルアンプラバン、人気の観光地ヴァンヴィエン、首都のビエンチャンを接続する。LCRは、市場や資源へのアクセスを改善し、雇用を創出し、貧困を削減することで、地域に経済・社会的発展をもたらすものと期待されている。

中国ラオス鉄道を有する中国鉄路昆明局集団とラオス中国鉄路によると、2023年4月までにこの国境を越える鉄道の旅客輸送量は1443万人、貨物輸送量は1880万トンに達したという。今日、地元と外国の乗客が席を埋めている。

しかし、プロジェクトによってラオスの債務負担が増えたのではないかという国内外からの批判は絶えない。「東南アジアの水力電力源」になることを目指しているラオスは、電源開発のために多額の債務を抱えており、この鉄道プロジェクトはさらに60億ドルの借金を増やしたと推定されている。

この債務の半額は中国向けで、米国の研究機関「エイドデータ」によると、国営企業による債務としてバランスシート外の扱いになっているものも含めると、ラオスの対中国債務はGDPの65%にも達し、世界的にもかなり高いレベルになっているという。

「ラオスの債務は重く、自らに有利なように交渉を進められていない。一部の果物や野菜、その他のモノが中国から鉄道でラオスに流入している程度です。」と先述のNGO職員のマニヴォン氏はIDNの取材に対して語った。

他方、世界銀行が2023年5月に発表した報告書によると、ラオス-中国間の鉄道路線と新しいドライポートにより、乗客の移動と貿易の流れが促進され、天然資源の輸入が産業活動を活発化させたが、マクロ経済の不安定さと外部要因によって回復が遅れているという。

多額の対外債務を返済する必要性、輸入物価の高騰、外貨の制限により、キップの価値は急落し、高インフレを引き起こし、収入・消費・投資の低迷を招いている。

ラオスの民間組織「中小企業センター」の共同創設者ノイ・マリワン氏は、「熟練労働者の多くがラオスを離れてタイなどで働いています。また、ラオスで設立された多くの外国企業が自国人の専門家を雇用しています。」と指摘したうえで、「中国系農場の非熟練労働に関してすら中国人が雇用されています。ラオスの労働法では、このような場合ラオス人を雇用しなくてはならないと定めていますが、外国企業はラオス人労働者はレベルが低いからと主張しているのです。」と語った。

マニヴォン氏は、「ラオスで中国人はしばしばある種の特権を与えられていると言って差し支えありません。中国人男性が土地を取得する目的でラオス人女性と結婚しているケースもあります。中国系経営者がラオスのバナナ農園に投資し、現在、6万6000エーカーもの農場があります。バナナはラオス・中国鉄道で中国に送られますが、農場で働くラオス人やその家族は残留駆除剤の被害にさらされています。」と付け加えた。

マリワン氏は、「列車の運行により農業分野の中小企業の数が増えました。しかし、それらは資本がないためラオス人が所有しているのではなく、中国の投資家が所有しています。ラオス人にとって、中国人と共同投資できる貴重な機会なのです。」と語った。

マリワン氏はまた、「コロナ禍以前の経済はそれほど悪くなかったが、債務返済時期が訪れてキップの価値が下がり、ラオス経済は脆弱になっています。」と指摘した。加えて、鉄道網によって中小企業が利益を得られるかどうかについても懐疑的な見方を示した。

「農業に携わるラオスの中小企業の多くは、地元市場で製品を販売しています。」とマリワン氏は指摘した。「彼らはまた、列車で製品を輸出したいと考えています、政府の支援は一部の中小企業にしか利用できないため、資本が不足しています。」

ラオスの別の中小企業経営者バウンサビー・インサヴォン氏(仮名)も同じ見方だ。「現在、ラオスの生活費はとても高い。世界銀行やアジア開発銀行が政府を通じて借款をしているが、資金を受けられるだけの条件を満たせる者は多くない。」

ラオス国立大学の学者ホンマラ・フェンシサナヴォン氏は鉄道網が長期的にラオスに経済発展をもたらす可能性についてより楽観的だ。「ラオス・中国鉄道がラオスにもたらすものはあります。」と語るフェンシサナヴォン氏は、中国から靴やかばん、化粧品などを鉄道で取り寄せてオンラインで販売する学生らの存在を指摘した。

「加えて、中国語を話すスタッフへの需要も高いです。若者たちは、働く意志さえあれば大学の学位など必要なく、中国語を習うこともできます。中国語を習得したら、ラオスの中国系企業に雇ってもらいやすくなるのです。」

「農業分野への投資と成長を通じて、ラオスが自国を維持する希望があることは心強い。ラオス-中国間の鉄道は、中国への輸出を増やす貴重な機会を提供してくれます」とマリワン氏は指摘した。しかし、そのためにはラオスの考え方を変える必要がある、と彼女は主張する。

「ラオス政府と国民は、どのような製品が求められているかを知り、その製品の栽培と販売に投資する必要がある。この方向で努力を続けることで、ラオスは長期的な持続可能性と繁栄を達成することができます」と、マリワン氏は希望に満ちた声で語った。(08.05.2023) INPS Japan/ IDN-InDepthNews

 

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