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Across Latin America, thousands of girls under the age of 15 suffer from sexual violence and are forced to become mothers against their wishes. Credit: YouTube

強制的な子どもの妊娠が「小説の世界」ではない場所

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Across Latin America, thousands of girls under the age of 15 suffer from sexual violence and are forced to become mothers against their wishes. Credit: YouTube【ローマIDN=フィル・ハリス】

彼女が母親の交際相手の男にレイプされ妊娠したのは、10歳の時のことだった。妊娠中の彼女は、きわめて体調が悪く、栄養不良で体重も少なかった。母親は中絶を要望したが、母体が危険にさらされていると当局が判断した場合は法律が妊娠中絶を認めているにも関わらず、政府はこの要望を却下した。

女児の母親は、娘に対する監護義務を怠ったとして逮捕され、一時的に収監されている。母親は以前に虐待を警察に通報したこともあったが、警察は動かなかった。

当局はこの女児を本人の希望に反して施設送りにし、子どもを産むまで留まるように強制した。彼女は誰との面会も許されず、唯一許されたのは、伯母との週1回・2時間の面会だけであった。

予想に反して彼女は妊娠期を乗り越え、女児を出産した。

現在12歳の母となった彼女は、自身と娘の生活のために、わずか50ドル相当の生活支援金を政府から受けるのみである。彼女は、金銭的に苦しい生活を送るだけではなく、妊娠や病気、そして学校でのひどいいじめによる不登校のために逃した教育機会を得るためにも、苦労している。

DNAテストによればこの女児を虐待していたのは、彼女の子どもの父親であることが分かっているが、当人は、収監されているものの、いまだに裁判待ちの状態だ。

これは小説の世界ではない。女児の名はメイナンビー(仮名)ちゃんで、パラグアイに住んでいる。彼女のケースは決して特異なものではない。「女性の権利擁護のためのラテンアメリカ・カリブ委員会」(CLADEM)によると、強制的な児童妊娠はパラグアイだけではなく、ラテンアメリカ全体で問題になっている。

14カ国の調査を基に2016年に書かれた報告書『子どもの母親たち―ラテンアメリカ・カリブ海地域における強制的な子どもの妊娠と母親としての生活』において、CLADEMは、パラグアイやラテンアメリカ全域において数万人の女児がレイプされ妊娠していると指摘している。

パラグアイでCLADEMの地域コーディネーターを務めるエルバ・ヌニェス氏は、「強制的な子どもの妊娠はこの地域において深刻な問題となっていますが、各国政府からはまだ効果的な対応策が出てきていません。」と指摘したうえで、「ラテンアメリカ全体で、15歳未満の女児数千人が性的暴力の被害を受け、意思に反して母親になっています。これは、深刻な保健・人権の問題です。女児が直面するマイナスの影響は、身体面、感情面、社会面と多岐にわたります。」と語った。

ヌニェス氏はまた、「メイナンビーちゃんのような多くの女児が、カトリック教会の関連した宗教団体が運営する慈善施設に『収監』されており、妊娠を続けるように義務づける裁判所の命令下に置かれています。彼女たちの母親の中には、娘に対する性的暴行を当局に通報し当局が十分な対応をできなかったにもかかわらず、子どもの監護義務を果たしていないとして逮捕・収監される者もいます。」と語った。

「強制的な子どもの妊娠は性的虐待とレイプの結果であり、暴力以外のなにものでもありません。」と、Equality Now(今こそ平等を)の米州局長であるシェルビー・カスト氏は語った。同団体は1992年に設立され、世界中の女性・女児の人権の擁護と向上のために活動している非政府組織である。

「妊娠に至るまでに起こった出来事と妊娠そのものは、子どもにとって深いトラウマとなり、心理的にも身体的にも生涯を通じた傷を残します。こうした幼い母親たちの身体は十分に発達していないため、妊娠は、出産のためにまだ十分な準備ができていない生殖器及びその他器官にダメージを及ぼします。」

パラグアイ保健省の最近の報告によると、2014年に10~14歳の684人の女児が出産しており、2015年の人数はこれよりももっと多いという。パラグアイは10~14歳の少女の妊娠率がラテンアメリカでもっとも高い国のひとつであり、同国の女児のうち約3分の1が、19歳までに身体的暴力、感情的暴力、性的暴力を受けている。

ヌニェス氏は、パラグアイでは「性的虐待の犯人が処罰されないという深刻なパターンがあります。」と指摘したうえで、「その理由は第一に、加害者が近親者であることが多いことから、被害者の女児が被害を訴えることに恐怖を覚えるため。第二に司法制度が、虐待を捜査し適切に対処していない状況があります。」と語った。

「パラグアイにはまた、性的虐待を防ぎ、女児のエンパワーメントと事件の早期発見を図るための性教育の枠組みが学校にありません。これに加えて、さらなるリスクを避け、適切な保護を与えるための、児童妊娠のケースに対処する一般基準もないのです。」

カスト氏は、そうした基準が必要だと強調し、「明確な基準の策定がきわめて重要であり、警察や医師、教員のような専門家が、いかに性的暴力に適切に対応し報告するかについての訓練が必要です。加害者と責任を持つ者の双方が、責任を追及されるシステムが構築されなくてはなりません。」と語った。

カスト氏によれば、「性的暴力と暴行を経験したパラグアイの女児は国家からの適切な保護を受けていません。それどころか、宗教的原理主義者と、一部の官僚を含むその他の集団が、被害者や人権活動家を黙らせようとしているのです。」と語った。

「多くの人々が中絶問題だけに焦点をあてようとしている中で、Equality NowやCLADEMは、女児に対する性的暴行やレイプを免責するような根深い社会規範や慣行に焦点をあてています。」

カスト氏は、「前向きな変化を成し遂げるためにも、議論や行動に『予防』の視点が含まれねばなりません。また政府は、恐るべき暴力の結果としての妊娠にのみ集中するのではなく、女児がレイプされた際に総合的に対応できる方策を改善しなくてはなりません。」と語った。

「政府は、被害者、とりわけ性的暴力に遭った子どもの被害者、それに被害者を支援する人権活動家を強力に支援する必要があります。女児に対する性的暴行の問題が拡がっていることへの意識を高め、地域指導者や宗教指導者らは性的暴力に反対する声をあげねばなりません。」(06.09.2017) INPS Japan/ IDN-InDepth News 

 

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