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SDGs for All

SDGs for All is a joint media project of the global news organization International Press Syndicate (INPS) and the lay Buddhist network Soka Gakkai International (SGI). It aims to promote the Sustainable Development Goals (SDGs), which are at the heart of the 2030 Agenda for Sustainable Development, a comprehensive, far-reaching and people-centred set of universal and transformative goals and targets. It offers in-depth news and analyses of local, national, regional and global action for people, planet and prosperity. This project website is also a reference point for discussions, decisions and substantive actions related to 17 goals and 169 targets to move the world onto a sustainable and resilient path.

|新型コロナウィルス|生物多様性と野生動物の保護につながる可能性も

Photo: "Wet market" in Indonesia. Credit: Kalinga Seneviatne | INPS-IDN【シドニーIDN=カリンガ・セネビラトネ】

新型コロナウィルス感染症の世界的な大流行(パンデミック)がもたらした前向きな結果があるとすれば、生物多様性の保護と、食用野生動物の世界的な売買禁止に関する理解が高まることかもしれない。新型コロナウィルス感染症が、野生動物が食用に売られていた中国・武漢の「ウェット・マーケット」から始まったと考えられていることから、中国政府が野生動物の売買を禁止し、これを執行可能な国際法にすることを目指す国際的なキャンペーンが勢いを増している。

武漢をはじめ、中国やベトナム各地に無数にある「ウェット・マーケット」では、オオカミの子どもやサンショウウオ、ワニ、サソリ、ネズミ、リス、キツネ、ハクビシン、カメなどが生きたまま食用に売られている。

しかし、国際メディアが使用している「ウェット・マーケット」という言葉には危険が潜んでいる。なぜなら、清潔な衛生管理で知られるシンガポールをはじめアジア全土に点在する実際には野生動物が売られていない市場も、同様の名称で呼ばれているからだ。そもそもウェット・マーケットの語源は、店主が衛生上の理由から毎朝食材を陳列する前に市場の屋台を洗浄したことに由来している。

こうした「ウェット・マーケット」で売られている食品はスーパーよりも価格が安く、時として新鮮であるため、貧困層が日々の買い物のために訪れている。「国際環境開発研究所」(IIED)は最近のブログ投稿で、「ウェット・マーケット」を名指しで批判するよりも、急増している野生生物の取引に目を向けるべきだと指摘した。「畜産された動物よりも野生動物の方がウィルスの宿主になりやすい」とエリック・フェーブル氏とセシリア・タコーリ氏はブログで述べている。

食用を目的とした野生動物の合法・違法取引は、数十億ドル規模の利益を生む産業となっており、生物多様性に対する最大の脅威の一つに数えられる。新型コロナウィルス感染症が拡大する以前から、環境保護活動家やウィルス学者は、生物多様性の破壊と新型ウィルス出現の危険性について警告してきた。なぜなら、「開発」を口実に森林を破壊して、道路や鉄道建設、農場や居住地の拡大が推し進められた結果、人間が野生生物に直接触れることが多くなってきているからだ。

2008年、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン生態系・生物多様性学部の研究チームが1960年から2004年の間に発生した335の病気を確定したが、そのうち少なくとも6割が動物由来のものであった。

この30年にパンデミックに発展したほぼ全ての感染症は、動物から人間に感染した病原菌を原因とするものであった。1996年のエボラ出血熱、2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)、2012年の中東呼吸器症候群(MARS)、2013年の鳥インフルエンザはすべて、動物や鳥から人間に感染したウィルスが原因である。

2月2日、中国共産党の最高意思決定機関である、習近平国家主席が率いる中央政治局常務委員会は、野生動物を食用に販売することを中国全土で禁止する声明を発表した。

「我々は市場の管理を強化し、違法な野生生物取引に対する厳格な禁止と取り締まりを行い、公衆衛生上のリスクを元からコントロールしなくてはならない」と声明は述べた。しかし、国際メディアの報道によると、こうした野生動物市場の一部が再開されていることから、中国政府がこうした禁止命令をどこまで徹底させる意思があるのか疑問視する声も上がっている。

他方、野生動物市場を禁止する国際的なキャンペーンが勢いを増している。米国を本拠とし、植物由来の予防的医薬を促進する団体である「責任ある医薬品を求める医師委員会」(医師会員1万2000人)は米国政府と世界保健機関(WHO)に対して、野生動物市場を禁止すべきとの署名運動を開始した。

米国で菜食主義を訴えるニュースサイト「リブカインドリー・メディア」によると、署名にはすでに、イエール大学医学部の心臓医で脂質学が専門のエリック・J・ブラント氏、ハーバード大学医学部のミシェル・L・オドノヒュー教授ら225人が賛同しているという。

請願書の署名賛同者らは、野生動物市場は、欧州や米国にも存在し、中国にだけあるのではないと指摘している。医師らは請願書のなかで、「野生動物市場はコロナウィルスにとっては『赤じゅうたん(=手厚く歓迎する環境』のようなものだ」と指摘したうえで、「たった一つの野生動物市場(=湖北省武漢市の華南海鮮市場)を中国で閉鎖できなかったことが、世界中で無数のビジネスを閉鎖に追い込み、膨大な数の死者と経済的大混乱を引き起こす事態につながった。」と述べている。

『ガーディアン』紙(ロンドン)によると、国連生物多様性条約事務局のエリザベス・マルマ・ムレマ事務局長代理もまた、パンデミックを将来的に防ぐために野生動物の売買を世界的に禁止するよう訴えている。ただし同時に、意図しない帰結ももたらすと警告を発している。

ムレマ事務局長代理は、「とりわけアフリカにおいては、低収入の農村地帯などの地域があることを忘れてはなりません。これらの地域では、野生動物の売買が数多くの人々の生活を支えています。従って、これらの地域にとっては、代替策がない限り、野生動物の違法な取引が始まってしまう危険性があるのです。…いかにバランスをとり、いかにして将来的な違法取引の抜け穴を塞ぐかを考える必要があります。」と述べている。

2019年10月、米国の『サイエンス』誌の記事が、生物が多様な熱帯地域において野生動物の取引が拡大しており、そのために最大8775種が絶滅の危機に瀕していると指摘した。記事は、野生動物の売買を止めるために、事後的は対応ではなく、先回りした積極的な措置を求めている。

米国のメディアが中国での野生動物の販売再開を報じる中、リンゼー・グラム米上院議員が中国に対して野生動物の売買禁止を求めている。同議員は4月初め、「世界全体の安全のために、これらのウェット・マーケットを閉鎖するよう中国政府に求める」書簡に賛同するよう他の上院議員らに呼び掛け、駐米中国大使に送付した。

オーストラリアのスコット・モリソン首相は4月3日のラジオ・インタビューで、野生動物を売買する問題の市場を「中国のウェット・マーケット」と呼び、全面的な禁止と世界的な取り締まりを行うよう呼びかけた。モリソン首相の呼びかけは、2カ月にわたったウィルス撲滅のための封鎖措置を経て、中国各地で野生動物の売買が再開されたと豪州メディアが広く報じたことに応じたものであった。

『スピルオーバー:動物の感染と次なるパンデミック』の著者であるデイビッド・クアメン氏は、「食用の野生動物の売買を世界的に食い止めるようとするならば、何よりも人間の行動と生物多様性の破壊というより大きな状況に注目しなくてはなりません。」と語った。

クアメン氏は、最近の『ニューヨーク・タイムズ』紙によるインタビューのなかで、「我々は多くの動植物が生きる場である熱帯雨林やその他の自然を侵略しています。そして、それらの生き物の中に多くの未知のウィルスが潜んでいるのです。」と語っている。

「我々は木を切り倒し、動物を殺したり捕えたりして、市場で売りさばいています。生態系を阻害し、自然の宿主からウィルスをたたき出しているのです。そうなれば、ウィルスは新しい宿主を必要とします。そしてしばしば、人間が新たな宿主になってしまうのです。」とクアメン氏は指摘した。(04.10.2020) INPS Japan/ IDN-InDepth News

 

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