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SDGs for All

SDGs for All is a joint media project of the global news organization International Press Syndicate (INPS) and the lay Buddhist network Soka Gakkai International (SGI). It aims to promote the Sustainable Development Goals (SDGs), which are at the heart of the 2030 Agenda for Sustainable Development, a comprehensive, far-reaching and people-centred set of universal and transformative goals and targets. It offers in-depth news and analyses of local, national, regional and global action for people, planet and prosperity. This project website is also a reference point for discussions, decisions and substantive actions related to 17 goals and 169 targets to move the world onto a sustainable and resilient path.

極度の貧困をなくすには年間780億ドルで十分

Photo credit: Institute for Security Studies.【ルンド(スウェーデン)IDN=ジョナサン・パワー】

「(世の中には3種類の嘘がある)嘘、大嘘、そして統計だ」「統計でどんな事実でも捻じ曲げられる」―たしかにこうした言い分にも一片の真実がある。しかし、ある種の統計は必要なものであり、私たちの目を見開かせ、驚きを与えるものでもある。米国の貧困層が置かれている状況について聞かれたならば、多くの人々が、この200年間たいして進歩はなかったと答えるだろう。しかし、現実を直視するには統計やデータを確認すべきだ。

たしかに、今でも多くの人々がスラムやゲットーに住んでいる。しかし今日、彼らには、水道管や暖房システム、電気、天然痘や結核のない生活、適切な栄養状態、幼児・妊婦死亡率の低下、平均余命の倍増、ますます高度化する医療、避妊手段、中等教育、バスや電車・乗用車・自転車、人種的偏見の減少、退職年齢の上昇、購入する商品の質の向上、労働環境の向上、参政権といったものがある。

これらはかつて、富裕層だけが手に入れられる「贅沢品」であった。

貧困がそれほど構造化されていない欧州やカナダ、日本でも状況は同じだ。近年では、依然として人口の20%が貧困下にあるラテンアメリカのほとんどの場所でも、同様の状況がある。(戦争前のイラクやシリアを含む)中東もそうだ。中国やインド、パキスタン、スリランカ、東南アジア、北アフリカでは、進展著しい。アフリカはそれほどではないものの、南アフリカ共和国・ナイジェリア・コートジボワール・ガーナ・セネガル・ルワンダ・ガボン・エチオピア・タンザニア・ウガンダ・ケニアなどいくつかの国では状況が改善しつつある。 

『ブルジョワの平等』の著者であるディアドラ・マクロスキー氏はこれを「大富裕化」と呼んでいる。

1日2ドル以下の収入で生活する最貧困層もこうした状況の一部を享受しているが、まだそれほどではない。しかし、貧困層は急速に減りつつある。1993年からの20年間で、最貧困層の数は10億人以上減った。1990年から2010年の間に、5歳になるまでに死亡した幼児の割合はほぼ半減した。とりわけ、マンモハン・シン首相時代のインドと、胡錦涛主席時代の中国で、最大の減少がみられる。

『エコノミスト』誌によると、最貧層に属する人々は1日平均1.33ドルで生活している。つまり、極度の貧困を解消するには1日わずか0.57ドルあればいい。世界全体のGDPの0.1%弱に相当する年間わずか780億ドルが必要だということだ。実際、地球温暖化対策よりも極度の貧困の根絶の方を優先すべきだという議論もあるぐらいだ。現在の推計では、とりわけ再生可能エネルギーに焦点を当てたエネルギー問題に関して年間2.5兆ドルが必要であるという。

人々はまさに今苦しんでいる。今後10年か20年後に厳しい影響が顕在化する気候変動問題と比べて、貧困問題はより緊急の課題だと言える。もちろん、どちらも対処すべき課題だ。そのための資源は手の届くところ、つまり、軍事費として確保している。軍事支出を正当化する理由が「防衛」ならば、「防衛」のなかで優先すべきは、最も貧しい人々の命と、地球の防衛ではないか。

通念とは異なり11年前に始まった世界的な金融危機以来、世界はより平等な場所になってきた。ブラジルやインド、中国の成長が、英国で産業革命が始まって以来最大規模の不平等の減少につながっている。

また、世界はより暴力的でない場所になりつつある。冷戦終結以降、戦争はほとんど起こっていない。心理学の世界的権威スティーブン・ピンカー氏が2011年に発表した「暴力の人類史」によると、戦争による死亡率を世界的に見た場合、第二次世界大戦時の10万人当たり300人が、1970年代・80年代には一桁、21世紀には1人以下に減ってきている。

世界の国々の6割は民主主義国家である(1940年には両手で数えられるくらいだった)。民主主義国家間では戦争になりにくい。

国連平和維持活動の件数は爆発的に増え、大成功をもたらしている。バラク・オバマとドナルド・トランプ両大統領の下で、シリアの場合で見せたように、世界の超大国である米国は戦争に対して臆病になってきている。この傾向は戦争からの退却において特にみられる。

殺人率や犯罪率は急激に低下している。貧しい人々は、特に犯罪被害に遭遇しやすい。欧州の殺人率は中世以来35分の1に低下した。1970年代から80年代にかけては、殺人発生率が19世紀末からの減少傾向から反転して一時的な上昇がみられたが、21世紀に入ると75カ国で急激に減少している。暴力的犯罪は、とりわけ先進国では急速に減っている。刑務所への収監が増えたためではなく、警察の戦術が顕著に向上したためである。DNA検査によって、犯罪者の追跡は容易になった。

中絶はより広くみられるようになった。子育てに対応できず、結果として犯罪を染める可能性の高い麻薬中毒者やアルコール中毒者、シングルマザーを親として生まれてくる子どもの数はかなり少なくなった。また、とりわけ大きな要素は、有鉛ガソリンが175カ国で廃止されたことである。鉛は人間の脳に害を与える。鉛によって傷つけられる脳の部分は、人間の攻撃的衝動を抑える部分だ。20世紀の中盤から末期にかけて、乗用車や大型トラックが世界中に広まり、犯罪率は急上昇した。

貧困や環境破壊、不正義、好戦的なレトリック、犯罪への恐怖に依然として取り囲まれている私たちは、つい最悪の事態を想像してしまう。真相を知ろうとしても、災害にフォーカスするメディアはあてにはならない。しかし、統計や事実を直視すれば、また別の物語が浮かび上がってくる。私たちはこれによって、闘い続ける力と希望を得られるのである。世界を、もっとよい場所にすることは可能だ。(11.12.2019) INPS Japan/ IDN-InDepth News

 

 

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