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|ジンバブエ|ペットボトルでレタス栽培

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Photo: Zimbabwean farmer Ruth Rugejo runs a hydroponics sytstem that uses recycled plastic bottles at her home in Gweru. Credit: Kudzai Mpangi.

【ムタレ(ジンバブエ)IDN=ファライ・ショーン・マティアシェ】

ジンバブエ中部の人口密度の高いグウェル市郊外の町ムタパ。ルース・ルゲジェさん(38)は、自宅の裏庭に置かれた空の2リットル入りペットボトルで栽培したキャベツを見つめていた。

この革新的な農民は、近くにある違法なゴミ捨て場からこのペットボトルを拾ってきて、水耕栽培に使っているのである。

彼女の庭には温度を管理する温室がある。

彼女の水耕栽培の仕組みでは、太陽光システムや国の電力供給網からの電気を使うのではなく、重力を用いてペットボトルの中の作物にパイプを通じて水や栄養を送っている。

カリバやフワンゲの主要な発電所では古い発電機を使っているために長時間の停電が生じている。そこで、24時間の電源を必要とする水耕栽培を行う多くの農民にとっては、太陽光発電が代替手段となっている。

しかし、ルゲジェさんのような多くの農民にとっては、太陽光発電は高くてなかなか手がでない。

重力を用いた水耕栽培は実現性が高く安価である、というわけだ。

「コロナ禍の衝撃緩和措置として現金支給を得ていました。小さな庭もありました。昨年10月に、水耕栽培を行う支援も得ることができました。」と、11歳の娘を持つシングルマザーでもあるルゲジェさんは語った。

「自宅近くのゴミ捨て場からペットボトルを拾ってきて、レタスやほうれん草、キャベツなどの葉物野菜を育て始めました。」

ペットボトルを拾ってくることでコスト削減になる。

「買ったりはしません。コストはずいぶん減りましたね。しかも、簡単に取り替えられます。」とルゲジェさんは言う。

グウェルなどジンバブエ国内の町では違法なゴミ捨て場があちこちに見られ、プラスチックごみの投棄が住民の頭を悩ませている。

とくに人口密度の高い郊外であるグウェル市当局のゴミ収集方針に一貫性がないことが原因だ。

グウェルでは違法な廃棄物投棄に罰金を科すため、人々は深夜や早朝にゴミを投棄することになる。

なかでも、プラスチックは燃焼時に人間の健康に大きな害を与える。

分解されるのに数百年もかかるプラスチックの一部は、国内の川やダムに流れ込んでいる。

研究によると、プラスチックは、気候変動を悪化させる温暖効果ガスであるメタンやエチレンに変わるという。

ルゲジェさんは、ドイツの慈善団体「ヴェルトフンゲルヒルフェ」【訳注:2030年までの貧困根絶を目指す団体】によって、水耕栽培などの生活向上支援を受けているグウェルの多くの世帯のひとつである。

彼女が昨年水耕栽培を始めたとき、育てた野菜は自分自身の消費用だと考えていた。それを最終的に隣人に売ることになるとは考えも及ばなかった。

「今年初めに初めて野菜を育ててみて、余った野菜を売ることができたんです」と、失業状態にあり生活のために農業を続けるルゲジェさんは語った。

「そのお金で娘を学校にやることもできたし、洋服のような必需品を買うこともできました。」

ヴェルトフンゲルヒルフェ」の都市レジリエンス構築プログラムの生産資産創出エンジニアであるタクドゥワ・ムヴィンディ氏は、リサイクルペットボトルを利用した水耕栽培システムは費用対効果に優れていると語る。

「65リットルのタンクの中で水に栄養が足されます。水と栄養の両方が、重力を利用して、管を通じてペットボトルの中に栽培されている作物の中に送られます。」と、この水耕栽培の仕組みを考え付いたムヴィンディは説明した。

「最終的には水はタンクの中に回収されます。農民はそれを最初の65リットル入りタンクの中に注ぎ込みます。気象条件によって、これを一日3回繰り返すのです。」

乾燥地帯あるいは都市部において作物を育てることを可能にする農法である水耕栽培は、[土壌を使う通常の農法と比較して]水使用量が9割、土地使用が75%少ない。

水耕栽培法で育てられた野菜は通常の農法よりも2倍速く育つ。

水耕栽培は、土地や水を持たない農民にとってのオプションとなり、土壌が貧弱な土地で大いに機能する、と語るのは、国連食糧農業機関(FAO)のルイス・ムヒギルワ駐ジンバブエ副代表だ。

「都市や乾燥地帯、低地などの環境で水不足や気候変動、土地の劣化などに直面している従来からの農業が問題を乗り越えるには、水耕栽培は有益な手法だと言えます。」とムヒギルワ氏は語った。

ルゲジェさんは、農場を所有して商業規模で水耕栽培を展開することを夢見ている。

「大きな土地があったら、街のスーパーマーケットに野菜を届けてみたい」。ルゲジェさんはそう語った。(10.07.2022) INPS Japan/ IDN-InDepthNews

 

 

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