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Photo: UNMAS, MINUSMA Mark International Day for Mine Awareness. Robots have been deployed for mine clearance by military authorities in many countries, but concerns are rising over regulation of autonomous weapons which use Artificial Intelligence. UN Photo/Marco Dormino

殺人ロボット規制を妨害する米国・ロシア

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Photo: UNMAS, MINUSMA Mark International Day for Mine Awareness. Robots have been deployed for mine clearance by military authorities in many countries, but concerns are rising over regulation of autonomous weapons which use Artificial Intelligence. UN Photo/Marco Dormino

【ニューヨークIDN=タリフ・ディーン】

20年に及んだ戦争の後、8月31日に米軍が最後の兵をアフガニスタンから撤退させた。ワシントンがこれに込めたメッセージは明確だ。今後の全ての紛争における「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」(地上軍派遣)を米国は抑制するというものだ。もっとも、現在でもまだ、中東全域に4万人以上の米兵が展開している。

しかし、将来の波は、特に世界中のテロ集団に対する「影の戦争」で使用される「殺人ロボット」がもたらすかもしれない。そのほとんどがドローンや無人航空機(UAV)である。

米軍は8月29日、誤ってISIS-Kのアジトとされた場所に対して、ドローンからヘルファイアミサイル1発を撃ちこんだ。児童7人を含む10人の民間人が殺害された。米国防総省は「悲劇的な過ち」と述べたが、この民間人殺害に関して処罰を受けた者はいない。

この攻撃は、イラク・リビア・ソマリア・イエメン・シリア・アフガニスタンの内戦や紛争地帯でしばしば起こっているように、人工知能(AI)といよりは、誤った諜報(Faulty Intelligence)によって誘導されたものだった。恐らくこのような悲劇は、今後も繰り返されることになるだろう。

他方、第6回特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)再検討会議が12月13日から17日までジュネーブで開かれた。自律型致死兵器システム(LAWS)の将来に関する重要な会合だと見られていたが、予想通り失敗に終わった。

国連協会(本拠は英国)のキャンペーン責任者であるベン・ドナルドソン氏は、12月18日の閉会時にIDNの取材に対して、「多数の政府、ハイテクコミュニティー、国連事務総長からの緊急行動の呼びかけにまったく応えられていない。」と語った。

「英国殺人ロボットストップ運動」の運営委員でもあるドナルドソン氏は、「自律型兵器と群ロボットへの軍事的な投資が爆発的に伸びる中で、8年にも及ぶ議論の末、今日の国連が何も成果をもたらしていないのは偶然ではない。これらの兵器を開発している影響力がある一部の国々は、法的拘束力のある新規則の導入によって進歩がもたらされることを妨げている国々と同じだからだ。」と語った。

「フォーラムとしてのCCWの限界が白日の下に晒された。しかし、その他の国々と市民社会、技術界のリーダーによる強力な連合は進歩をもたらす決意を固めている。」とドナルドソン氏は指摘した。

クラスター弾や対人地雷に関する禁止条約の成功は、国連の外でも進展をもたらすことが可能であり、進歩的な諸国が目標に向かう姿勢を見せていることを示している。

「2022年、殺人の決定を機械に委ねてはいけないと真剣に考えている多数の人々は、この兵器の禁止に向けた新条約を起草し始めるだろう。国連でこの動きを妨害している国々は、自分たちが歴史のどちらの側につこうとしているのかを考えてなくてはならない。」とドナルドソン氏は訴えた。

「ストップ・キラーロボット」キャンペーンを主導する団体の一つである「アムネスティ・インターナショナル」は12月17日、厳しい調子の声明を発表した。米国やロシアを含めた、既に自律型兵器の開発に多額の投資をしている少数の国々が、国連の特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の全会一致ルールを使って多数の国々の意思を人質に取り、兵器システムの自律化に対する世界的な法的対応への進展を妨げようとしていることは今や明白だ、というのである。

新条約を策定する協議へのステップに第6回CCW再検討会議が合意できなかったことで、対人地雷やクラスター弾に関する条約の策定に繋がった条件を反映した法的対応が緊急に必要だとの認識が高まってきた。

「この8年間、戦力の使用を人間が意味ある形でコントロールするための新たな国際法の交渉を大多数の国々が一貫して呼びかけてきたにも関わらず、第6回再検討会議は、世界が望む結果に遥かに及ばない任務しか採択することができなかった。各国は、特定の目標に向けた作業に合意することなく、来年のCCW会合を迎えることになる。」とアムネスティは述べた。

婦人国際平和自由連盟(WILPF)の「リーチング・クリティカル・ウィル」の代表であるレイ・アチソン氏はIDNの取材に対して、「米国が提案した行動規範は(ロシア・イスラエル・インドなど一部の国々のように)自律型兵器の開発・使用を予防する条約の交渉を妨害している米国などの国々の視点を基にしており、全会一致で採択された行動規範など効果的ではないだろう。」と語った。

これらの国々は、自律型兵器システムの価値を喧伝するためにこの8年間を費やしてきた。「兵器と戦力の使用を意味ある形で人間がコントロールし、人権と尊厳を守るための明確な禁止と制限を盛り込んだ法的拘束力のある取り決めが必要だ」とアチソン氏は語った。

「対照的に、米国の考えている行動規範は、自律型兵器の開発を当然のものとみなし、それを促進すらしており、自律的な暴力をますます正常化してしまう。私たちは既に、武器を搭載したドローンとその他の遠隔操作戦争技術によって、人間が行う暴力から人間を引き離してしまう道へと転落してきてしまった。」

「これらの兵器は、信じがたい人的被害を与え、民間人の被害を引き起こす。国際法は損なわれ、戦力使用のハードルは下がる。また、「南」の人びとに対して、不均衡に使用され実験されている。」と、アチソン氏は指摘した。

自律型兵器システムはこうした害悪を悪化させる。そうした兵器の開発は、その他の新しい自律的・人工知能(AI)技術開発という文脈で理解されねばならない。

顔・声・歩き方・心拍認証などバイオメトリックのデータ収集、人の行動を予想する治安維持ソフトウェア、監視技術、人間をカテゴリー化し分類するメカニズム―こうしたことのすべてが世界中で軍隊や警察によって利用されるようになってきている。

「政府や軍隊、警察が先進技術を暴力と監視のためにいかに利用しているかの例をここに再び見て取ることができる。こうした展開の軌跡と、それが積極的に構築している世界を見て取ることができる。アルゴリズムやセンサー、ソフトウェアを基盤にして機能する兵器の出現を防ぐために今こそ行動しなくてはいけない。」とアチソン氏は主張した。

アムネスティ・インターナショナルはその声明で、オーストリアのアレクサンダー・シャレンベルク外相とニュージーランドのフィル・トウィフォード軍縮・軍備管理担当大臣がいずれも自律型兵器を規制するあらたな国際法の策定を呼びかけていると指摘した。

ノルウェーとドイツの新連立政権もそれぞれ、この問題に関して行動をとることを約束している。国連では68カ国が国際法の策定を訴え、地域を横断したリーダーシップが発揮されている。

数多くのAI専門家や科学者、ストップ・キラーロボット・キャンペーン、アムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、国際赤十字委員会(ICRC)、26人のノーベル賞受賞者、広範な市民社会があらたな国際法を求めている。殺人ロボットに関する外部プロセスを起動する舞台は整った。

ICRCは政策ペーパーで、自律兵器システムは、最初に人間によって起動されたり発射されたりした後は、センサーを通じて受容した環境からの情報に反応して、一般化された「標的に関するプロファイル」を元に、自ら攻撃を遂行する。

つまり、兵器の使用者は、結果として武器が使用された場合の特定の標的や正確なタイミング、場所を自ら選べないし、それを知ることすらできないということなのだ。

自律型兵器システムを使用することは、その効果を予測し制限することが困難なことから、リスクが伴う。戦力や兵器の使用において人間によるコントロールや判断が不在であることは、人道的、法的、倫理的観点からして重大な疑問を投げかける。

自律型兵器システムが機能するプロセスは次のようなものだ。

・武力紛争に影響を受ける者(民間人・戦闘員の双方)に対して害をもたらすリスクがあり、紛争のエスカレーションの危険もある。

・国際人道法、とりわけ、民間人保護のための敵対行為に関する規則を含めた、国際法への遵守に対して問題を投げかける。

・生と死にかかわる人間の決定を、センサーやソフトウェア、機械のプロセスに委ねることによって、人間性を巡る根本的な倫理的懸念を生み出す。

2015年以来、ICRCは諸国に対して、民間人を保護し、国際人道法に従い、倫理的に受容できるような形で、自律型兵器システムに国際的制限をかけることを呼びかけている。

他方で、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は昨年9月、自律型致死兵器以上に不安定をもたらす発明は考えにくいと語った。さらに、2年以内に開催される予定の「将来のためのグローバルサミット」でこの問題について検討することが期待されると語った。

このサミットではまた、核兵器やサイバー戦争、自律型致死兵器システムのもたらす戦略的なリスクを減じる措置を、「平和のための新しいアジェンダ」に盛り込むことを検討することになるだろう。

新たに設置された「国連未来研究所」は、大きなトレンドやリスクに関する報告を定期的に発行する予定だ。こうした取り組みを支援するために「『国連2.0』を立ち上げて、21世紀の課題に対処するための、意義があり、国連システム全体にわたり、多国間で、多くの利害関係者を巻き込んだ解決策を提示することになる。」とグテーレス事務総長は語った。(12.21.2021) INPS Japan/ IDN-InDepth News

 

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