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A beach at Funafuti atoll, Tuvalu, on a sunny day. / Wikimedia Commons.

世界の最貧困層は気候問題の解決を求める

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 A beach at Funafuti atoll, Tuvalu, on a sunny day. / Wikimedia Commons.【ボンIDN=ラメシュ・ジャウラ】

気候変動に対してとりわけ脆弱な世界で最も貧しい48カ国が、2015年のパリ(気候変動)協定の履行に関してこの数カ月間で「大きな進展」が見られるかどうか重大な関心を寄せている。

ドイツのボンで2週間にわたって開催された国連気候変動会議(5月8日~18日)の閉幕に当たってこのことを強調したのは、後発開発途上国(LDC)グループの議長であるエチオピアのゲブル・ジェンバー・エンダリュー氏である。今年11月のCOP23に向けた準備会合にあたる今回の会議には140カ国の代表が参加した。

LDCとは、開発途上国の中でも、①国民総所得(GNI)、②人的資源、③経済的脆弱性の面から「もっとも開発が遅れている」と国連によって分類された国々のグループである。

エンダリューLDC議長は報道発表で、「LDCはこの会議において意義のある進展がみられたことを歓迎しますが、進展の速度は全く十分とは言えません。」「11月のCOP23では、最後に駆け込みで合意する形ではなく、パリ協定を履行する『ルールブック』の最終策定に向けて大きな進展をもたらさなくてはならなりません。」と語った。

COP23とは、1990のドイツ統合まで西ドイツの首都であったボンで11月6日~17日に開催される予定の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第23回締約国会議のことである。ボンには約20の国連機関や事務局が置かれている。

「パリ協定を実現に向け大きな前進を図ることは避けて通れないことです。なぜなら、気候変動の影響はすでに世界のあらゆる場所に見られ、今後の数十年でさらに影響は拡大するものと考えられるからです。」とエンダリューLDC議長は警告した。

またエンダリューLDC議長は、「長く待てば待つほど、対応にはコストがかかるようになり、損失や被害も大きくなります。またそうなると、貧困の根絶をはじめとする持続可能な開発目標(SDGs)に沿った取り組みが危機に陥ることになりかねません。」と付け加えた。

LDCは、国際社会が開発途上国の資金上の実際のニーズにあまり対処できていないことに懸念を持っている。これら途上国の「各国別に定められた分担金」は、「10億ドル単位ではなく1兆ドル単位」の資金の必要性を強調するものだ。「気候関連の財源を引き出すことは、LDCやその他の開発途上国がパリ協定を履行するにあたって必要不可欠なものです。」とエンダリューLDC議長は付け加えた。

こうした状況を背景にエンダリューLDC議長は、「気候変動へのグローバルな対応は、現段階の最新の科学に沿ってなされねばなりません。」と強調するとともに、「命と生活を守るために、温暖化は(世界の平均気温上昇を、産業革命前と比較して)1.5度にまで抑制されなくてはなりません。つまり、世界の排出量はこれから3年もしない2020年をピークに、その後は(排出量の)削減期に入らなくてはなりません。」と語った。

こうしたことを視野にLDCは、すべての締約国に対して「気候変動の危機がもたらしている緊急性を自覚して問題に対処する取り組みを強化すること」を求めている。また、さらに一歩踏み込んで、「現在および将来世代の生活は瀬戸際にあり、すべての国々が公正かつ大胆な行動をとれるかどうかにかかっている」と警告した。

11月COP23で議長を務めるフィジーのフランク・バイニマラマ首相は、準備会合の閉幕にあたって、「市民社会、科学界、民間部門、そして地方自治体を含むあらゆるレベルの政府との間で、2020年以前に、またその先において、気候関連の行動を加速する大連合」を構築する必要性を訴えた。

バイニマラマ氏は、優先事項として、「極端な気候事象や海水面の上昇などの気候変動の影響に対してすべての脆弱な国家の対抗力を強化すること」、「気候対応のための資金源、再生可能エネルギー、清潔な水、安価な気候リスク・災害保険を強化し、持続可能な農業を推進すること」を挙げた。

南太平洋の島嶼国フィジーは、アフリカ・カリブ海・太平洋諸国(ACP)グループを構成する79カ国のひとつである。全体でパリ協定の署名国の半数を超す。ACPグループの約40カ国がLDCである。

米国が気候変動問題に対する対応を「再検討する」と表明したことで不透明感が広がっているにも関わらず、ACPグループと欧州連合(EU)は、パリ協定の完全履行に向けた強力かつ安定的なコミットメントを再確認しており、すべてのパートナーに対して、2015年に生み出された推進力を維持するよう求めている。

ACPグループとEUはパリ協定を履行する次のステップに関する共通の立場に合意し、低排出で、気候変動に強い開発の促進に向けて協力を強化している。

この強化された協力の一例として、EUは太平洋地域に対して2020年までに8億ユーロの支援を表明している。うち半分は気候変動対応に使われる。EUはまた、COP23の議長職をフィジーが務める支援として300万ユーロを提供する予定だ。

ミグエル・アリアス・カネーテ欧州委員(気候問題・エネルギー担当)は「欧州は今日、以前にもまして、気候変動に最も脆弱な長年のパートナーの側に立っています。先進国も途上国も共にパリ協定を擁護していくことでしょう。私たちは皆が当事者であり、この協定に対する私たちの共同のコミットメントは、パリ協定が合意された際と同様、今日もこの立場は不可逆的で、再交渉の余地はないのです。」と語った。

ブリュッセルのACP事務局は、パトリック・ゴメス事務局長の次の言葉を伝えている。「ACPグループ・EU間の長期にわたり、現在も継続している協力は、私たちが気候変動の影響に真剣に対処しようとしていることのあらわれです。パリ協定の履行は、ACPグループ加盟の79カ国の生存を確実にするためだけではなく、持続可能で、強靭で、繁栄した経済と社会を世界全体で作り上げていくために行うべきことなのです。」

今回の準備会合では、ACPグループとEUがパリ協定の作業プログラム策定を2018年までに終了する必要性を強調した。これは、すべての国が、グローバルな目標に貢献するために、各国別の気候変動対策計画を速やかに実行に移すようにするために不可欠なものだ。またACPとEUは、来年行われる予定の「促進的対話」に向けた準備の詰めの作業を行う重要性も強調した。

この対話は、すべての当事者の貢献の影響と、これまでの全般的な進捗状況に対する理解を共有し、全体的な目標を達成する解決策を探る重要な機会となることだろう。

ACP諸国とEUはまた、まもなく議長職を降りるモロッコと後任のフィジーによる協議に支援を与えている。この協議は、2018年の「促進的対話」の枠組みに関する明確な提案を策定して11月のCOP23に提示することを目的としている。(05.21.2017) INPS Japan/ IDN-InDepth News 

 

 

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